[ヴェド][SS]リァノーン『夢』2008-01-06 Sun 00:00
(↑)企画に準じて3ヶ月間はヴェドやファントムに注力していこうと思います。 書き下ろしヴェドSS(御題挑戦) リァノーン『夢』 「ギーラッハ、あなたの夢、叶えられて?」 星空の下で歩きながら問うた声は何気ない会話の一つだったのかもしれない。 「はい、姫様。もう間もなくかと」 己は即座に口に出して答えていた。 あの日から数えて五百余年、分け与えられし不死の肉体でリァノーンに付き仕えた日々。 闇の世界に生き続けなければならない世界で見出し始めた一条の光、リァノーン姫を見て恭しく答える。 「そうですか。それは本当に良かった……」 リァノーン姫の返答は笑顔を装っていた。 笑顔に陰が指した、その意味を己は知っている。 リァノーンがずっと追い求め続けていた夢を知っているから。 北へ――。 西へ――。 南へ――。 ずっと捜し彷徨い続ける日々を己は姫様と共にずっと過ごしてきたのだから。 「……申し訳、ございません」 リァノーン姫の前に回ると膝を屈し頭を垂れる。 「なにを突然、謝っているのですか? ギーラッハ」 事情を呑み込めぬリァノーン姫に告げる。 「己の夢を追い求められようとしているのに、姫様の夢を一向に叶えられぬ己の無力さを嘆くばかりで」 リァノーン姫は己の言葉に頭を横に振る。 「そんなことはありません。ギーラッハは私に仕えてもらっております。それだけで十分です」 「ですが……」 リァノーン姫からの慈悲の言葉に触れるたび、己の更なる不甲斐無さに顔を上げることさえ叶わない。 「どうか立ってください。ギーラッハ」 促されて立ち上がるのを見届けるとリァノーン姫が告げた。 「大丈夫です。こうして捜し続けている限り、いつか私の夢も叶う日が訪れるでしょうから……」 「……はい」 己はそう答えるしかできなかった。胸に去来する想い。 本当にそうなのだろうか――? 共に捜し続けた日々よりも更なる年、二千年に達しようかという日々で一向に見つからなった者の存在などを。 「行きましょう、ギーラッハ」 「はい……」 だが姫様が捜し続けるという限り、私も共に歩み続けていく。 それこそが己とリァノーン姫の『夢』なのだから。 (To be Continued.)
ヴェド
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